大ベテランの職人技

かかりつけの診療所におられたOさんというベテラン看護師さんのお話です。

還暦前にしてはとてもはつらつとして物事をはっきりという方なので、慣れないうちは少し苦手でした。

しかし、針を刺すのがものすごく上手かったのです。あとはそこまで頻繁に通院なんてしなかったのに、しっかりと顔と名前、以前どんな会話をしたかを覚えていてくれていたのでだんだん親しみをもつようになりました。

そんなある日、原因不明の高熱が続き、朝夕に点滴をする日が3日間続いたことがあります。インフルエンザの検査をしても反応なし、でも熱は39℃前後が続いてなかなか下がらない。

いつもなら生活リズムが悪いんじゃないの?とか言ってくるOさんも、さすがに優しくなりました。もちろん他の看護師さんも心配してくれましたが、普段とのギャップがあるせいかOさんの方が優しく感じました。

朝夕1回ずつ点滴をするということは1日に2回針を刺されるということです。それが3日続きましたので、合計6回ですね。看護師さんによっては刺し直すなんていうこともあるので、毎度少し不安になりました。

新人さんは文句なしに痛い。中堅さんは普通。大ベテランのOさんの針を刺す技術がずば抜けていました。

高熱のせいかもしれませんが、ほとんど痛みを感じないのです。

あればかりは刺しながら教えることも難しいでしょうし、そんな貴重な看護師さんが辞めてしまわれたのは本当に残念です。

未だにナースステーションにOさんの姿を探してしまうほど、思い出に残る素晴らしい看護師さんです。